
ロンドンレポートvol.15「暮らしそのものがアート」──チャールストン・ハウスで感じる芸術と日常の融合
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こんにちは。川井公式オンラインショップです。
イギリス在住の大学生ひなさんのコラム第15弾!
こんにちは。ひなです。
イギリスでは少しづつ季節が進み、街で銀杏の匂いが感じられたり朝晩の気温が下がってきたりと秋のはじまりが感じられるようになってきました。そんな中、今回はイングランド南東部にある邸宅 チャールストン・ハウス(Charleston House) を訪れてきました。
チャールストン・ハウスの歴史と背景
チャールストン・ハウスは17世紀に農家の家として建てられましたが、1916年に画家ヴァネッサ・ベルとそのパートナーであるダンカン・グラントが第一次世界大戦中に移り住んだことをきっかけに、作家・芸術家・思想家が集う重要な文化サロンとして機能し始めました。
ここはアーツ・アンド・クラフツ運動の後に発展したポスト印象派やモダニズムを象徴する邸宅で、鮮やかな色彩や抽象的なパターンが特徴的です。
外観は質素な農家風でありながら、内部は壁画や家具、装飾で彩られ、まるで芸術作品そのもののような住空間となっています。
「日常生活と芸術を結びつける」という思想は、アーツ・アンド・クラフツ運動の理念を受け継いでいるとも言えるでしょう。
現在は美術館・博物館として一般公開されており、当時のままの装飾や家具を見学できます。
また、併設ギャラリーでは作家や画家の企画展も開催されています。
アクセスと訪問のポイント
チャールストン・ハウスへは、ロンドンから電車で約1時間かけて Lewes(ルイス) という街まで南下し、そこからバスで約15分ほど。
バスの本数は2〜3時間に1本と限られているため、時間には注意が必要です。
開館時間は基本的に水曜日〜日曜日の10:00〜17:00。
チケットは現地購入も可能ですが、混雑時は待つこともあるのでウェブサイトでの事前購入をおすすめします。
ルイスからのバスの道のりはのどかで、田園風景を眺めながら進みます。
Charleston Farmhouse バス停で下車し、10分ほど小道を歩くと目的地に到着。
途中で牛に出会うなど、のんびりとした散策が楽しめました。
邸宅に到着──カフェとギャラリーの楽しみ方
建物に到着すると、想像していたよりも大きな邸宅が目の前に現れます。
左手にあるのは後から建てられたカフェとギャラリーで、右手が本来のチャールストン・ハウスです。
カフェではドリンクやケーキはもちろん、本日のスープやキッシュなどのランチメニューも豊富。
天気の良い日にはギャラリー前のテラスで過ごすのもおすすめです。
館内で出会う「生活と芸術の融合」
館内に入るとまずロッカールームがあり、荷物を預けてから見学を始めます。
受付でチケットを提示すると、スタッフが簡単に説明してくれます。
最初の展示室では、チャールストン・ハウスの歴史や、ここに集った人々の思想が紹介されていました。
芸術と生活の融合、反権威主義や平和主義といった社会的思想、そして写実主義が主流だった時代における前衛的表現への挑戦など、この場所が持つ意義を強く感じました。
実際に各部屋を歩くと、生活と芸術がいかに一体化していたかを体感できます。
家具や壁、小物にまでペイントが施され、至るところから芸術性が感じられます。
ヴァネッサ・ベルの寝室には家族の肖像画が飾られ、彼女にとって家族の存在が大切だったことが伝わってきました。
他の部屋でも、持ち主の思い入れが強いモチーフが描かれており、芸術と個人・生活のつながりについて考えさせられます。
裏庭に広がるイングリッシュガーデンとアトリエ
ほとんどの部屋から共通して裏庭を望むことができます。
整えられた庭園をダイニングや書斎だけでなく、各寝室からも眺められるつくりは、住人同士のつながりや自然との関係を象徴しているようでした。
見学の最後にアトリエを抜けると、実際に裏庭に出ることができます。
そこは色鮮やかな花々と緑に包まれた空間で、自然の姿を生かしたイングリッシュガーデンの思想が感じられました。
季節ごとに異なる植物が楽しめるのも魅力です。
芸術と暮らしが溶け合う特別な場所
チャールストン・ハウスは、芸術と生活の境界をなくし「暮らしそのものをアートにする」という思想が詰まった特別な場所でした。
ロンドンから少し足を延ばすだけで、豊かな芸術文化と自然に触れられる貴重な体験ができます。
芸術やデザインに興味のある方はもちろん、イギリスの田園風景や静かな時間を楽しみたい方にもおすすめのスポットです。
次回の旅先にぜひ加えてみてください。