
ロンドンレポートvol.13 田園に佇む芸術の館。英国「スタンデン・ハウス」で出会う手仕事の美
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こんにちは。川井公式オンラインショップです。
イギリス在住の大学生ひなさんのコラム第13弾!
こんにちは。ひなです。
日本では暑い日が続いているようですが、いかがお過ごしでしょうか。
イギリスでは20度前後の日が多く、過ごしやすい日々が続いています。
今回はロンドン中心部から電車とバスを乗り継いで約1時間半の場所にあるアーツ・アンド・クラフツ運動ゆかりの邸宅「Standen House(スタンデン・ハウス)」に行ってきました。
最寄駅のThreeBridge から、2時間に1本しか運行していないバスに揺られて45分。
田舎町や丘陵地帯を抜けた先にあり、公共交通機関ではやや行きづらい場所ですが、アーツ・アンド・クラフツ運動の工芸品やデザインに触れるにはうってつけのスポットです。
「Standen House(スタンデン・ハウス)」とは
スタンデン・ハウスは、ウィリアム・モリスの友人で建築家のフィリップ・ウェッブによって、裕福な弁護士とその家族のために設計されました。
1894年完成し、1906年には再デコレーションが施されています。
ウェッブの提案により壁紙やカーペット、家具に至るまでモリスのデザインがふんだんに仕様され訪れる人の心を魅了します。
到着した時にはちょうどお昼時だったため、向かいのカフェでランチをいただきました。
店内は混んでおり、注文までに15分ほど並びましたが、木の温もりを感じるウッドハウス長の空間に、モリスデザインのファブリックが飾られていて、とても居心地がよかったです。
豆のスパイシースープとパンをいただきましたが、とても美味しかったです。
メニューもランチメニュー、カフェメニューともに豊富でこれぞイギリスのカフェといったメニューでした。
入場料は大人17ポンド(2025年7月現在)。
ナショナルトラストのメンバーであれば無料です。
事前予約は不要なので、ウェブサイトで開館日を確認してから訪れればOKです。
中に入ると、スタッフの方が建物について簡単に説明してくれます。
各部屋にもスタッフがいて、質問すると丁寧に答えてくれるのが印象的でした。
主な見どころ
✅ビリヤードルーム
名前の通りビリヤード台が置かれた部屋で、家族や来客が遊ぶために作られました。
家具やランプなどもアーツ・アンド・クラフツのデザイナーが手がけたものです。
最後に使用されたのは10年ほど前ですが、現在でもプレイできるそうです。
家具やランプ、デコレーションもアートアンドクラフトのデザイナーがデザインしたもので、部屋を彩っています。
✅コンサバトリー
コンサバトリーとは、元々は温室植物を育てるためのガラス張りの空間ですが、19世紀以降は日光を楽しむリラックス空間として多くのイギリス邸宅に取り入れられました。
スタンデン・ハウスのコンサバトリーからは広大な庭を一望でき、何時間でも過ごしたくなる様な心地よさです。
椅子のクッションには、メイ・モリスがデザインした「Honeysuckle」が使われています。
✅ドローイングルーム
家族が作業や談話をするための部屋です。
椅子の数から、家主夫妻、7人の子ども、18人の孫という大家族だったことが感じられます。
部屋の至る所で異なるモリスのファブリックが使われており、柄の組み合わせの参考になります。
家具もウェッブの弟子やモリス商会のデザイナーが手がけており、アーツ・アンド・クラフツ運動のデザイナー同士の交流を感じられる空間です。
✅2階の寝室
2階は14部屋あり、そのうち8部屋が公開されています。
それぞれ異なる雰囲気を持ち、モリスの壁紙が部屋の印象を大きく左右しています。
長女の部屋には「Larkspur」の壁紙が貼られ、当時としては珍しいビルトインクローゼットがウェッブの設計で備えられています。
ベッドカバーは長女自身の手縫いで、手仕事を重視したアーツ・アンド・クラフツ運動の理念が反映されています。
また別の部屋には、モリス商会がデザインしたファブリックに、部屋の住人が2年かけて施した繊細な刺繍が飾られていました。
近くで見るとその緻密さに圧倒されます。
スタンデン・ハウスでは、当時の住人の手仕事が数多く残されており、デザイナーだけでなく住まい手のクラフトマンシップも感じられる貴重な邸宅です。
✅売店
館内のショップでは、スタンデン・ハウスやモリス関連の書籍、モリスデザインを使ったグッズが販売されています。
マグカップやまな板などのキッチン用品をはじめ、寝具やスカーフなどの衣類まで幅広いラインナップが揃っていました。
今回ご紹介したスタンデン・ハウスは、当時の生活の空気や手仕事の温もりを感じられる、とても魅力的な場所でした。
ロンドンから少し足を延ばして、アーツ・アンド・クラフツの世界観に浸ってみてはいかがでしょうか。
きっと新しいインスピレーションが得られると思います。