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モリスの思想に触れることができる場所、ケルムスコット・ハウス
こんにちは。川井公式オンラインショップです。 イギリス在住の大学生ひなさんのコラム第11弾! お久しぶりです。 イギリスも春らしくなり、珍しく晴れの日が続いて街の活気が高まっています。 ウィリアム・モリス協会(William Morris Society)は、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の重要人物であるウィリアム・モリス(1834年–1896年)の遺産を保存することを目的とした団体です。 モリスはデザイナー、アーティスト、作家、社会改革者であり、彼の作品は今でもデザインや社会思想に影響を与え続けています。 協会の本部はロンドンのハマースミスにあるケルムスコット・ハウス(Kelmsott House)に構えられています。 ここはモリスが晩年を過ごした家であり、現在は博物館、アーカイブ、そしてモリスの作品を愛する人々の集う場となっています。 現在、木曜日、土曜日、日曜日の午後2時から5時(冬季は1時から4時)の限られた時間のみ開館しており、入場料は3.5ポンドです。 今回はこのケルムスコット・ハウスに行ってきたのでご紹介します。 前回紹介したウィリアム・モリス・パブがあるハマースミス駅から、徒歩15分の場所にあります。 ロンドンの中心部から少し離れた落ち着いた住宅街が続くエリアです。私が訪れたのは土曜日だったため、パブは地元の人で賑わっていました。 ケルムスコット・ハウスはテムズ川沿いにあり、カモメが飛び交い、船が行き交うのどかな風景が広がっています。 静かで落ち着いた環境にあるこの場所は、モリスが晩年を過ごす街に選んだのも頷けます。 ミュージアム自体はモリスが過ごしていた家の一部を利用しており、広さはそれほど大きくないものの、展示内容は非常に充実しています。 最初の部屋に入る際、協会のスタッフの方に入場料を支払い、モリスと協会について簡単な説明を受けました。 中央にはモリスの壁紙デザインのコレクション冊子が置かれ、両サイドの壁にはモリスや協会についての説明や、彼の作品の原画が展示されていました。 特に原画は繊細で美しく、とても魅力的でした。 奥の部屋に進むと、庭に面した部屋がありモリスに関する書籍が販売されていました。私が訪れた日は残念ながら裏庭には出れませんでしたが、出れる日もあるように見受けられました。 最初の部屋から右側に進むと、モリスの作品やアーツ・アンド・クラフツ運動に関連する書籍が所狭しと並んでいます。 さらに奥に進むとミュージアムショップがあり、モリス関連のグッズを購入できます。 取り扱い商品は前回紹介したV&Aミュージアムやウィリアムモリスミュージアムと大差ないように感じました。 最後の部屋には、当時使用されていたアルビオン印刷機が展示されています。 アルビオン印刷機とは19世紀初頭にイギリスで開発された手動式の鉄製印刷機です。アーツアンドクラフツ運動やモリスらの美しい書籍制作に貢献しました。...
モリスの思想に触れることができる場所、ケルムスコット・ハウス
こんにちは。川井公式オンラインショップです。 イギリス在住の大学生ひなさんのコラム第11弾! お久しぶりです。 イギリスも春らしくなり、珍しく晴れの日が続いて街の活気が高まっています。 ウィリアム・モリス協会(William Morris Society)は、イギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の重要人物であるウィリアム・モリス(1834年–1896年)の遺産を保存することを目的とした団体です。 モリスはデザイナー、アーティスト、作家、社会改革者であり、彼の作品は今でもデザインや社会思想に影響を与え続けています。 協会の本部はロンドンのハマースミスにあるケルムスコット・ハウス(Kelmsott House)に構えられています。 ここはモリスが晩年を過ごした家であり、現在は博物館、アーカイブ、そしてモリスの作品を愛する人々の集う場となっています。 現在、木曜日、土曜日、日曜日の午後2時から5時(冬季は1時から4時)の限られた時間のみ開館しており、入場料は3.5ポンドです。 今回はこのケルムスコット・ハウスに行ってきたのでご紹介します。 前回紹介したウィリアム・モリス・パブがあるハマースミス駅から、徒歩15分の場所にあります。 ロンドンの中心部から少し離れた落ち着いた住宅街が続くエリアです。私が訪れたのは土曜日だったため、パブは地元の人で賑わっていました。 ケルムスコット・ハウスはテムズ川沿いにあり、カモメが飛び交い、船が行き交うのどかな風景が広がっています。 静かで落ち着いた環境にあるこの場所は、モリスが晩年を過ごす街に選んだのも頷けます。 ミュージアム自体はモリスが過ごしていた家の一部を利用しており、広さはそれほど大きくないものの、展示内容は非常に充実しています。 最初の部屋に入る際、協会のスタッフの方に入場料を支払い、モリスと協会について簡単な説明を受けました。 中央にはモリスの壁紙デザインのコレクション冊子が置かれ、両サイドの壁にはモリスや協会についての説明や、彼の作品の原画が展示されていました。 特に原画は繊細で美しく、とても魅力的でした。 奥の部屋に進むと、庭に面した部屋がありモリスに関する書籍が販売されていました。私が訪れた日は残念ながら裏庭には出れませんでしたが、出れる日もあるように見受けられました。 最初の部屋から右側に進むと、モリスの作品やアーツ・アンド・クラフツ運動に関連する書籍が所狭しと並んでいます。 さらに奥に進むとミュージアムショップがあり、モリス関連のグッズを購入できます。 取り扱い商品は前回紹介したV&Aミュージアムやウィリアムモリスミュージアムと大差ないように感じました。 最後の部屋には、当時使用されていたアルビオン印刷機が展示されています。 アルビオン印刷機とは19世紀初頭にイギリスで開発された手動式の鉄製印刷機です。アーツアンドクラフツ運動やモリスらの美しい書籍制作に貢献しました。...
ウィリアム・モリスの生涯とは
ウィリアム・モリス(1834-1896)はロンドン郊外生まれの思想家、詩人であり、デザイナーでもありました。 生前は多方面で精力的に活躍し、各方面で偉大な功績を残した人物です。 今回はウィリアム・モリスの生涯について紹介致します。 彼の幼少期は自然が身近な環境に育ち、エピングの森でよく遊びました。この経験がのちのテキスタイルの創作の源にもなったと言われています。1853年、モリスはオックスフォード大学エクセター・カレッジに入学し、聖職者を目指す中、生涯の友人・エドワード・バーン=ジョーンズに出会います。フランスやベルギーへの旅の影響で、モリスは建築家を志すようになり、1856年にジョージ・エドマンド・ストリート建築事務所に入所します。そして、画家ダンテ・ガブリエル・ロセッティとの出会いから、画家を志すようになりました。 この縁よりモリスはオックスフォードのフレスコ画作成に関わり、のちの妻のジェイン・バーデンと出会い結婚に至ります。夫婦の新居となる赤レンガの家「レッドハウス」は、仲間たちのあらゆる協力で完成に至りました。この作業をきっかけにモリス・マーシャル・フォークナー商会(後のモリス商会)が設立されました。 モリスはこの頃から製作美術の分野を手がけます。 ステンドグラスや家具の仕事が第2回ロンドン万国博覧会(1862)で評価をされ、1865年にはセント・ジェイムジズ宮殿の内装を手がけるなど、商会の活動が軌道に乗ります。1875年には天然染料の使用、テキスタイルデザインに力を注ぎ、1883年には今なお人気の「いちご泥棒」などが生まれます。 一方で、76年に東方問題協会に参加し政治としての動きも行います。 1877年には古建築物保護協会の創設など精力的に活動を行いました。 モリスの思想は共感され、1880年代にはモリス商会と同じ理想を持つアトリエなどが多く生まれ、彼の活動は若手の建築家やデザイナーからなる「アーツ・アンド・クラフツ運動」の源流となりました。晩年のモリスは印刷工房のケルムスコット・プレスを設立し、「書物というものはすべて美しい物であるべきだ」という思想のもと、美しい装丁や活字デザインのもとに、全53タイトル・66冊の製本が行われました。 彼は1896年に62歳でケルムスコットハウスにて、その人生を終えます。彼の理想の元に行われた各活動は、今なお受け継がれている精神です。 産業革命が進む18世紀に、手仕事にこだわりを持ち、生み出された美しいデザインは日本でも160年の時を超え愛されているということに、本質が伺えます。「生活に必要なものこそ美しくあるべき」というウィリアム・モリスの思想に習い、私共はお客様の暮らしを上質にするお手伝いをさせていただきます。 生命力溢れるデザインが皆様のもとに届き、生活の中に美しさを見出していただけるよう、発信させていただきます。
ウィリアム・モリスの生涯とは
ウィリアム・モリス(1834-1896)はロンドン郊外生まれの思想家、詩人であり、デザイナーでもありました。 生前は多方面で精力的に活躍し、各方面で偉大な功績を残した人物です。 今回はウィリアム・モリスの生涯について紹介致します。 彼の幼少期は自然が身近な環境に育ち、エピングの森でよく遊びました。この経験がのちのテキスタイルの創作の源にもなったと言われています。1853年、モリスはオックスフォード大学エクセター・カレッジに入学し、聖職者を目指す中、生涯の友人・エドワード・バーン=ジョーンズに出会います。フランスやベルギーへの旅の影響で、モリスは建築家を志すようになり、1856年にジョージ・エドマンド・ストリート建築事務所に入所します。そして、画家ダンテ・ガブリエル・ロセッティとの出会いから、画家を志すようになりました。 この縁よりモリスはオックスフォードのフレスコ画作成に関わり、のちの妻のジェイン・バーデンと出会い結婚に至ります。夫婦の新居となる赤レンガの家「レッドハウス」は、仲間たちのあらゆる協力で完成に至りました。この作業をきっかけにモリス・マーシャル・フォークナー商会(後のモリス商会)が設立されました。 モリスはこの頃から製作美術の分野を手がけます。 ステンドグラスや家具の仕事が第2回ロンドン万国博覧会(1862)で評価をされ、1865年にはセント・ジェイムジズ宮殿の内装を手がけるなど、商会の活動が軌道に乗ります。1875年には天然染料の使用、テキスタイルデザインに力を注ぎ、1883年には今なお人気の「いちご泥棒」などが生まれます。 一方で、76年に東方問題協会に参加し政治としての動きも行います。 1877年には古建築物保護協会の創設など精力的に活動を行いました。 モリスの思想は共感され、1880年代にはモリス商会と同じ理想を持つアトリエなどが多く生まれ、彼の活動は若手の建築家やデザイナーからなる「アーツ・アンド・クラフツ運動」の源流となりました。晩年のモリスは印刷工房のケルムスコット・プレスを設立し、「書物というものはすべて美しい物であるべきだ」という思想のもと、美しい装丁や活字デザインのもとに、全53タイトル・66冊の製本が行われました。 彼は1896年に62歳でケルムスコットハウスにて、その人生を終えます。彼の理想の元に行われた各活動は、今なお受け継がれている精神です。 産業革命が進む18世紀に、手仕事にこだわりを持ち、生み出された美しいデザインは日本でも160年の時を超え愛されているということに、本質が伺えます。「生活に必要なものこそ美しくあるべき」というウィリアム・モリスの思想に習い、私共はお客様の暮らしを上質にするお手伝いをさせていただきます。 生命力溢れるデザインが皆様のもとに届き、生活の中に美しさを見出していただけるよう、発信させていただきます。

モリスの作品と展示・ウィリアムモリス ギャラリー【ロンドンからの案内動画あり】
ロンドン在住みっちさんがロンドンの街の様子やウィリアムの魅力を伝えてくれます。 第1弾の今回は、モリスギャラリーをレポートしました。 ウィリアム・モリスの作品と生涯が展示されているギャラリーが、ウィリアムモリス ギャラリーです。 ギャラリーはウォルサムストウというロンドンの北東郊外のロイドパーク内にあります。 ここは、もともとはモリスが14歳から22歳までの青年時代を、家族とともに過ごした家でした。 その後は出版者のエドワード・ロイドの息子がここに暮らしたことをきっかけに、1914年に博物館の計画が立てられ、その後の1950年にクレメント・アトリー首相により開設をされました。 建物は典型的なエドワード様式でこじんまりとはしています。 2012年に大規模改装が行われましたが、これはより多くの人々にモリスの作品ならびに生涯を伝えることを目的とした改装であり、現在は10,000点を超える作品が展示されています。 ギャラリー内部には様々な作品が展示されています。 例えばモリスがデザインした数々のテキスタイル。 モリスがデザインしたテキスタイルは種類も豊富で、プリントのものや刺繍がなされたものなどもありました。 有名な柄のいちご泥棒なども展示の一部にあります。 また、モリスの新婚時代の住まいであるレッドハウス 。 レッドハウス はモリスが仲間たちと協力して建設した内外装ともにこだわりのある家でしたが、そのレッドハウス の設計図が展示されています。 レッドハウス にはステンドグラスや絵画などの内部装飾にもとてもこだわって作られ、アーツアンドクラフツ運動の源流にもなったと言われていますが、ギャラリーには実際に使用されたアイテムも展示されています。 テキスタイルや壁紙、ステンドグラスや家具などの様々なモリスにまつわるアイテムが展示されており、デザイナーとしてのモリスの功績も見れるのですが、このギャラリーの特徴としては、モリスの生涯や人となりという側面を感じられるところです。 作品が生まれるまでの過程でどのような思想やこだわりがあったかということについて詳細に解説がされているためです。 カフェやショップなどもあり、勿論ここにもモリスのデザインしたガラスなどが用いられた空間となっています。 モリスのデザインに惹かれる方は、ぜひ一度足を運んでみるのにオススメの場所です。 ↓↓こちらは、イギリス在住のみっちさんが、ウィリアムモリス ギャラリーで撮影してくれた様子です。ぜひご覧ください。
モリスの作品と展示・ウィリアムモリス ギャラリー【ロンドンからの案内動画あり】
ロンドン在住みっちさんがロンドンの街の様子やウィリアムの魅力を伝えてくれます。 第1弾の今回は、モリスギャラリーをレポートしました。 ウィリアム・モリスの作品と生涯が展示されているギャラリーが、ウィリアムモリス ギャラリーです。 ギャラリーはウォルサムストウというロンドンの北東郊外のロイドパーク内にあります。 ここは、もともとはモリスが14歳から22歳までの青年時代を、家族とともに過ごした家でした。 その後は出版者のエドワード・ロイドの息子がここに暮らしたことをきっかけに、1914年に博物館の計画が立てられ、その後の1950年にクレメント・アトリー首相により開設をされました。 建物は典型的なエドワード様式でこじんまりとはしています。 2012年に大規模改装が行われましたが、これはより多くの人々にモリスの作品ならびに生涯を伝えることを目的とした改装であり、現在は10,000点を超える作品が展示されています。 ギャラリー内部には様々な作品が展示されています。 例えばモリスがデザインした数々のテキスタイル。 モリスがデザインしたテキスタイルは種類も豊富で、プリントのものや刺繍がなされたものなどもありました。 有名な柄のいちご泥棒なども展示の一部にあります。 また、モリスの新婚時代の住まいであるレッドハウス 。 レッドハウス はモリスが仲間たちと協力して建設した内外装ともにこだわりのある家でしたが、そのレッドハウス の設計図が展示されています。 レッドハウス にはステンドグラスや絵画などの内部装飾にもとてもこだわって作られ、アーツアンドクラフツ運動の源流にもなったと言われていますが、ギャラリーには実際に使用されたアイテムも展示されています。 テキスタイルや壁紙、ステンドグラスや家具などの様々なモリスにまつわるアイテムが展示されており、デザイナーとしてのモリスの功績も見れるのですが、このギャラリーの特徴としては、モリスの生涯や人となりという側面を感じられるところです。 作品が生まれるまでの過程でどのような思想やこだわりがあったかということについて詳細に解説がされているためです。 カフェやショップなどもあり、勿論ここにもモリスのデザインしたガラスなどが用いられた空間となっています。 モリスのデザインに惹かれる方は、ぜひ一度足を運んでみるのにオススメの場所です。 ↓↓こちらは、イギリス在住のみっちさんが、ウィリアムモリス ギャラリーで撮影してくれた様子です。ぜひご覧ください。