刺繍作家としても活躍したウィリアム・モリスの娘・メイ

ウィリアムモリス の娘であるメイ・モリス。刺繍作家としても活躍したメイについて紹介します。

メイは1862年に、ウィリアム・モリスと妻ジェーンの娘として誕生しました。夫妻が、モリスの仲間たちと共に作った新婚時代の新居であるベクスリーヒースのレッドハウス にて生まれます。

メイは、刺繍が堪能であった母親のジェーンと叔母であるベッシーから刺繍を学んでいました。1885年には、父のウィリアムモリス が立ち上げたモリス商会の刺繍部門の代表を担います。刺繍作家として様々なデザインを生み出しました。例えばヤドリギの刺繍。ヤドリギの枝のしなやかな美しさを表現した刺繍です。また、ハニーサックル(スイカズラ)というテキスタイルデザインも人気です。成長するスイカズラの花や葉を使った彩りが豊かな作品です。メイのデザインも、父親のウィリアムと同様に自然をヒントにして生み出されました。メイの刺繍はアートニードルワークという自由形式の手法が使用され、中世の英国のスタイルが用いられた刺繍技術は、メイの父であるウィリアムモリス が開発したとされています。繊細な表現が実現する刺繍方法でした。メイは英国のヘレナ女王の後援のもとに1872年に王立の縫製学校として設立されたRoyal School of Art Needleworkでも活躍を見せ、刺繍技術の発展に貢献しました。縫製学校では、ウィリアム・モリス の妻・ジェーンの妹であるエリザベス・バーデンも1880年から技術指導者として貢献をしました。

また、刺繍作品の関連では、モリスが「地上の楽園」とも呼び完璧なライフスタイルの象徴とした屋敷・ケルムスコットマナーの寝室にもモリスの妻ジェーンとメイらにより、晩年のモリスのために美しく刺繍の装飾がなされました。

メイ・モリスはメアリーエリザベスターナーと共に1884年、女性の芸術ギルド(同業者組合)を立ち上げたことでも知られます。アーツアンドクラフツ運動が起こる最中、芸術家組合も結成されていましたが、女性に対してはオープンでなかったため、メイらが女性アーティストのための組合を結成するに至りました。

父であるウィリアムモリス の功績により、世間的には著名度が霞んでしまうこともあるメイ・モリスですが、刺繍作家として、また技術の拡散者としても活躍を見せました。アーツアンドクラフツ運動についても、モリス商会の後継者となり尽力した人物であると言えるでしょう。